幻のやまもも～趣味のお取り寄せ～

　それは今年の4月のことでした。
お取り寄せが趣味の一環の私のもとに、一通のメールが届いたのです。いつも各地の名物、遠く離れたショップのお洋服をクリック一つで玄関先まで届けてくださる、●天からの宣伝メール。何気なく見た画像の一つに「超稀少」「貴重品種」などとという文字が躍っており、非常に激しく興味をそそられたのでした。
何でも、旬の期間が一年の中で1週間から10日と限られており、市場に出ることがほとんど無いとか…。
（超稀少やまももご参照ください。）
もうこれは買い、でしょう！！！

「6月の中旬から下旬にかけて、やまももが熟した頃に発送します。必ず受け取ってください。冷蔵で4日を過ぎるようなら冷凍保存してください。」
などといろいろなことが書いてありました。
ますます楽しみ～～！！

そして時は流れて6月「まだかまだか…。」と待つ身は辛く…。もういい加減ショップにメールをしようかと思っていた矢先！きました到着を知らせるメール。そして今日の午後、待ちに待った「貴重品種！！！」

ひんやりとして、つぶつぶ。ビロードのような色彩。さっと洗って口に含む。
「何だか懐かしい味」
というのが第一の感想でした。
野趣に富む味というか、さっぱりと酸味のある甘さ。生のラズベリーとか、野苺とかに近い感じ。それは交配を重ねて作り上げられた極甘のメロンやブドウなどとは全く違う、「昔から人々が口にしていたであろう甘さ」
だから「物凄い果物甘さ」がお好きな方にはお勧めできない。
でも、「野生の果物のその本来の味」が好きな方にはもう絶対の自信を持って受け入れられると思う、そんな味でした。

私？？来年は多分購入しないでしょう。
いえ、生まれて初めて口にしたやまももは、もう十分に美味しかったし、半分はすでに冷凍して少しずつ味わう準備はバッチリ。

　でも私にとって、
「申し込んでから、品物が到着するまでの未知のものに対する期待と、どんな果物かと想像を楽しむワクワクした時間」がこの商品の価値の半分を占めていたから。
残り半分の「品物そのものに対する渇望」はリピートを決意するまでには至らなかったのです…。（いえ、あくまでも私の価値観と果物の味の好みの問題で。人によっては毎年毎年恒例のように予約注文するんだろうなあ、と心から思います。本当に珍しい一品です。）そして未知の製品というものはネットの世界に満ち溢れていて。

　だから「お取り寄せ」は止められない。
コスメやブランド品に凝るでもなく、お酒もタバコもギャンブルもしない、外食もほとんどしない（出来ない）ベジタリアンの密かな生きがいであり、仕事をする原動力の一つですらあるのです…。