現実感のなさを感じる

　時々、「今」していることが、「夢」や映画の映像のように感じられることがある。映画「マトリックス」を思い出すが、確かに似ている。

　誰かと話し、何かを書きつけ、何かを作ったり、している自分。それを少しずれた位相から観察している、もしくは全く別のことを考えている自分。微妙な感覚。のめり込んで自分を見失ったり、激しい感情に揺す振られ、振り回される危険は減るが、集中力に欠け、ぼんやりと澱んだ感じも拭いされない。こんな時、もちろん物覚えも理解力も相当に悪い。
　
　仕事中など、「いかんいかん、集中！」と自身を叱咤し、本来の自分からずれてその内ふわふわとどこかに漂って行きそうな精神を呼び戻す。照準を合わせる。
子供の相手をしている時など、あまりの上の空の様子に「ねえ、聞いてる？ねんねしないで！」などと小さな手で肩を揺すられて、はっと気が付くことがある。

　この世界で起こっていることはある意味「夢幻」であるにせよ。誠心誠意生きてゆくことにこそ重要な意義があるというのに。
死ぬ時に後悔しないよう「“今”を生きなければ」と自分を強く戒める瞬間である。