ヘアスプレー：Hairspray

舞台はボルチモア。トレイシーは歌とダンスが大好きな女子高生。彼女は、いちばんホットなTV番組「コーニー・コリンズ・ショー」を親友ペニーと見るのが毎日の楽しみ。その番組がキャスト募集をしていることを知った彼女は、応募することにするが、ポッチャリ体型のトレイシーが合格するわけないと母エドナは反対する。そしてオーディションでは太ったボディをバカにされ、彼女は落選。が、幸運はいきなりやってきた！　高校のダンスパーティで歌って踊るトレイシーを見た番組のホストであるコーニーが、彼女をレギュラーに抜擢したのだ！
　青春のきらめきを心踊る音楽にのせて魅了する青春ミュージカルの傑作！　ポッチャリしたヒロインが歩むシンデレラストーリーは、ジョン・トラボルタ、ミシェル・ファイファー、クリストファー・ウォーケン、クィーン・ラティファなどの大人の演技派が安定した演技でがっちりと脇をしめ、主演デビューのニッキー・ブロンスキー、TVドラマ「ハイスクール・ミュージカル」のザック・エフロン、ティーンに大人気のアイドル、アマンダ・バインズなどの若手キャストは、のびのびとした歌とダンスと芝居を披露し、完成度が高く見応えのある作品に。カラフルな衣装、ポップな美術、心踊る音楽の数々も最高の輝きに満ちていて、思わずステップを踏みたくなるハッピーな映画だ。特にファットスーツ＆メーク＆カツラで娘思いの良妻賢母ママを愛らしく（!!）演じたジョン・トラボルタは必見! 監督は『ウェディング・プランナー』のアダム・シャンクマン。(斎藤香) Amazon.co.jpの商品紹介ページより

　もともとは、1988年公開のアメリカのコメディ映画。それがブロードウェイの大人気ミュージカルになり、またそれが映画化されたもの。日本では昨年公開。
全編楽しい雰囲気で進んでいきますが、背景には人種差別、特に黒人と白人が一緒に番組にでる、恋人になるなんてもってのほか！という暗い現実が横たわる。その差別は太った体型にも向けられるけれど…。
　主人公の女の子は豊満な体型だけど、こんな時代背景には全く関係なく、明るく快く、自分と自分の魅力に確固たる自信を持ってのびのび生きている。太っているからと家に引きこもっている母親を「時代は変わったのよ！」と励まし、外の世界に連れ出し、一緒に楽しむ。

　その一般社会の概念とは全く違う
「自分を信じ、自分の意思、判断や楽しもうという気持ちをしっかりと軸とした生き方」に嬉しくなった。
おしゃれをいうのは流行や現実社会でのあり方みたいなものを意識してそれに自らを合わせてゆく作業が必要だろうが、それを自分の「体型」や「行動」「誰と何をしたいか」というようなことまで広げて型にはめ込もうとするのは、本来の神の子たる自分をねじ曲げ、冒涜することではないだろうか、などと思った。

　「単なる独りよがり、独善」に陥ってはいけないけれど、一人ひとりが本当の意味で自分を大切にし、尊重してのびのびと生きる社会には、偏見や差別など入り込む余地はないように感じたのだ。
だって、正しい意味で自分を信じて大切にできる人は、周囲の人に対しても自分に接するのと同じように思い、振舞うはずだから。

素朴な疑問：でもなんで母親は、よりによってジョン・トラボルタが特殊メイク＆女装して演じているんだ？？興行的な戦略？？
彼氏と仲たがいして泣いている娘を慰めながら「（ママは）でも男の気持ちもわかるのよ」とさらりと言った一言には大笑いさせてもらったけど…。