花を植えて思う

　先日花壇の花を植え替えた。

夏から秋にかけて、大して手をかけないのにわさわさと生い茂り、濃いピンクの花をたくさんつけていた日々草をすぽすぽと抜き、黄色いビオラを8つ。

　若い頃は学校やアルバイト、就職してしばらくはとにかく勤務、夜勤、勉強会と、寝に帰るだけだった我が家。
その頃はアパート住まいだったのだが、小さな庭に背の高い草がぼうぼうと茂り、ある日一念発起して草取りをしたところ、強力な根に鎌が折れるは茂った草の中から虫はもちろんのこと、蛙から蝙蝠まで飛び出してきて腰を抜かしそうになるやら、驚きを通り越して大笑いするしかないような生活だった。

　そんな自分も、子供が生まれ、ささやかながら土地を買いマイホームを建て、家に居る時間が長くなるにつれ、いつの間にか季節ごとに庭に花を植えるようになった。

　といっても本来不精な私のことだから、あまりこまめに世話をしているわけではない。だから、ビオラやパンジー、日々草やペチュニアといった可憐な外見の割にはたくましい、「手のかからない子」を植えることになる。
（もっと年を取ってわが子に手がかからないようになれば、肥料や植え替え、枝を落とす、整える等の手間暇がかかりそうな「気難しい子」を育てる気になるのだろうか…）

　子供が大嫌いで、結婚なんか一生しない、と言っていた10代の頃の私。それが今は人並みに2児の母で、いつの間にか子供嫌いどころかシングルの友人知人にわが子の写真を見せるような、立派な親ばかになっている。

人というのは時と共に変わるものだなあ、と小さな花壇を見ながら思うのである。