柔らかい美しさ

　最近、体型に関する考えが変わった。
長い間、痩せていなければ綺麗ではない、と思っていた。筋肉があろうとなかろうと、年齢、性別、身長がどうであろうと、顔かたち、性格、雰囲気、全てがどうであろうととにかく脂肪がある程度以上ついていれば、デブ＝美しくない、と。
　そして、たっぷりと贅肉をつけている自分は美しくない、どころか早急に何とかしなくてはならないのに、それができない不道徳で、だらしない、何か大きな欠陥のある存在で、哀れまれ、蔑まれ、疎まれても仕方のない忌むべき生き物のように感じていた。

　私は何の特徴も無い、小さな存在であるが、同時に幸運にも素晴らしい方とのご縁で道を得ることが出来、その道を静かに歩む者の端くれでもある。
それでもやはり、この粗雑な身体に対してつまらない執着や見栄や欲、コンプレックスを強く持っていた。だから体型や顔かたちに関して「こういうのが良い、これは駄目」といった感覚を拭い去れなかったのだろう。
　結論から言うとあまりに平凡な、使い古された言葉になってしまうが、
「人は本来みな、それぞれに美しい。」
その美しさがもっとも光り輝くのは、この世界のあらゆる概念や、頭脳が作り出す想念から完全に解き放たれて自由を得た時。そうして人は夢から覚めるように、遥か昔に忘れ去られた真の自分を取り戻し、純粋な、至高の愛と光に満ち溢れる。そんな状態にあって、単なる物質、身体的特徴など何の意味があるだろうか。
静かに思う。「人はみな、美しい」